歯科診療

歯の病気

ヒトの歯もイヌ・ネコの歯も構造に大きな違いはありません。
エナメル質・象牙質・セメント質・歯髄となっています。
動物では人と異なり虫歯はほとんどありません。しかし歯肉炎や歯周病は非常に多いです。
歯と歯茎の間:歯肉溝に歯垢が付着し、それが歯石へと変化するスピードがとても速いことが原因です。
ヒトでは歯垢から歯石への変化は約1か月かかりますが、イヌでは約3日と言われています。そのためイヌでは歯周病が多いと考えられます。

ウサギなど草食動物の歯は、イヌやネコとは異なり『常生歯』という特徴があります。これは歯が一生伸び続けるということです。そのため伸びる量と削れる量のバランスが重要です。食事管理がうまくできないと歯が過剰に伸びて咬み合わせが異常になり、食べられなくなってしまい、命にかかわる事もあります。

詳細はブログ『歯のこと』をご覧ください

症状

歯周病菌により作られる『チオール』という物質により、口臭が強くなります。また、大きな歯石が付着していたり、口の中の出血やヨダレが多くなります。
痛みが強い場合には、ドライフードを食べたがらない(ウェットフードを好む)、食欲自体が落ちることもあります。

進行すると歯根周囲の骨が炎症により溶けてしまい、さらに膿が貯まることがあります。上顎の歯根に膿が貯まると、目の下や頬から貯まった膿が出てくる場合があります。

詳細はブログ『歯の病気のこと』をご覧ください

治療の流れについて

  • 身体検査

    歯茎の状態や歯石の付着量、ヨダレの量を確認します。見た目はきれいでも歯周病菌が増えていることもあります。そのため、口臭の原因物質『チオール』の量を簡単に測定できる検査紙を導入しました。
    検査紙を歯肉に沿わせ、10秒で判定可能です。


  • レントゲン検査

    進行した歯周病の場合には、歯根や顎の骨が溶けてしまう事があります。これらの変化はレントゲン検査により確認することができます。(鎮静または麻酔が必要なことがあります)


  • 全身麻酔下での歯科処置

    当院では歯科処置は全身麻酔下で実施しています。そのため、事前に血液検査などの全身状態の確認が必要です。
    歯科処置で重要な点は、歯と歯茎の間にある歯周ポケット内の治療です。痛みを伴い出血し易く、細かな作業となるため麻酔が必要です。
    超音波スケーラーを使用して歯垢や歯石を除去し、感染した歯肉の除去も一緒に行います。進行した歯周病で歯のぐらつきがひどい場合や、周囲の骨が溶けている場合には抜歯が必要になることもあります。最後にこれらの処置で細かな傷がついた歯の表面を研磨して終了です。

    処置前

    処置後
    詳細はブログ『歯垢・歯石にバイバイするぞ〜!の続き』をご覧ください

  • ウサギの歯科処置

    『常生歯』であるウサギの歯は、生える量と削られる量のバランスが重要です。
    牧草をあまり食べずペレットに偏った食事を続けていると、奥歯が過剰に伸びて舌や頬の粘膜に刺さってしまうことがあります。痛みによる食欲低下から胃腸運動の停滞、胃腸にガスが貯まりさらに運動が停滞と悪循環になり命に関わることもあります。
    過剰に伸びた歯は、麻酔下で削る必要があります。同時に食事管理も行います。

  • 内科的治療

    軽度の歯肉炎であれば、抗生物質や歯磨きなどのデンタルケアをお勧めします。
    猫の口内炎では、ウィルス感染や免疫異常が原因の場合が多いため、インターフェロンやステロイドによる治療があります。

歯周病予防

歯磨きガム

口臭軽減効果があるガムです。
毎日継続して食べることで、歯垢が歯石になることを防ぎます。
ガムによる歯の研磨と、酵素による歯垢分解の効果を発揮するため、丸呑みせず遊びながら食べるようにします。


CET歯磨きペースト

歯垢を溶かす酵素が入ったペーストです。指やガーゼにつけて、歯に塗り込みます。唾液と混ざり、酵素が歯垢を溶かしていきます。

まずは、お口の中を触らせてくれるトレーニングから始めます。徐々に慣れてきたらガーゼなどで軽く汚れを取ってからペーストを塗ります。

スカローデンタルジェル

軽度の歯石までであれば、アルカリにより歯石を溶解することが可能です。
『デンタルケアを始めたいけど、少し歯石が付き始めている』
そんな子にお勧めです。

歯ブラシで歯周ポケットを磨く歯磨きは最も効果が高いデンタルケアです。

詳細はブログ『歯垢・歯石にバイバイするぞ〜!』をご覧ください


しかし、口を開ける・歯を触る・口に歯ブラシを入れるなど、ハードルの高い方法でもあり、みんなが出来るわけではありません。
無理なく継続することが大切なので、その子の性格によってどの方法が良いか、スタッフまでご相談下さい。

 

最後に、頑張ったご褒美はお忘れなく!